自在塾 Aちゃんインタビュー

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インタビュータイトル004(彼女のものがたり物語りカテゴリー 004-2

人が場所に出会うことで、人生が変わることがある。今回は元自在塾の塾生に話を聞いた。

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わたしの居場所
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彼女がここへ来たのは中学3年生のときだった。
県外から母と小学生の弟と共に支援施設へ転居してきたのだ。

 高校受験まで残り2ヶ月しかない時期の編入だった。
転居してくる前までは私立の女子高への進学を希望していたが、受験勉強はしていなかった。
ただ「高校へ行きたい」という希望は明確に持っていた。

それには二つの理由がある。
一つは小学生の弟のことだ。
もしこの先、弟がグレて進学に問題を抱えたとき「姉ちゃんも高校へ行ってないのになんで」と言われたらショックだと思っていた。
そしてもう一つ、彼女には看護師になりたいという夢があった。

身体が弱かった幼少期、入退院を繰り返していた彼女のそばにいつも居てくれたのは看護師だった。
医者よりも看護師という仕事に魅力を感じた。

受験先は通いやすい場所にある高校に決めた。
しかし、希望する高校の偏差値は高く、入試合格は厳しい状況だった。
家の環境も大きく変わったばかりで、自宅には自分のスペースもない。
家は彼女にとって落ち着ける場所ではなかった。

その頃、人から自在塾を紹介された。
彼女は、自分の授業がない日もここで勉強した。
午前中には学校が終わる。
彼女は家に戻らずに自在塾へ来て、塾が閉まる夜9時40分まで、週6日をこの場所で過ごした。

夕方から他の子どもの授業が始まると、事務所に移って手伝いをしたりそこにいるスタッフに勉強を見てもらったりした。
他の子の授業が始まっても「ここで自習しててもいいよ」と声をかけてくれる講師もいた。

「その頃、誰もいない部屋で自習をしていると、よく塾長や代表の不破がおにぎりを作って運んでくれた。
『分からないところある?大丈夫?』って声かけてくれた。ここがあったから頑張れた」と、ふり返る。
彼女にとって心を静かにできる唯一の場所だった。
そして何より相談できる人がいる場所だった。

彼女は希望する学校を受けた。1度目の試験は失敗だった。
しかし二次募集でもう一度チャレンジをした彼女は、見事に合格した。

彼女の中には「やれば出来る」という確かな自信があった。
11歳のとき家族と共に海外から日本へ来た彼女は、漢字、ひらがな、カタカナそれぞれを毎日コツコツと一人で学んで自分のものにした。
「これから日本で生きていくにはやるしかない。何より自分のためになる」。
まだ小学生だった彼女が、自ら覚悟と決意を持って日本語を身に着けた。
この経験が彼女の中の自信を支えていた。

 

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