Aくんとお母さんのものがたり

ネコ+ものがたり
写真+見出し(A君

スタジオplus+を知ったのは、ひとり親家庭の支援機関から「発達障害の子向けの学習指導の教室があるよ」と紹介されたのがきっかけだった。

不登校で家にいることが多いA君に、外に出る機会を作りたかったのと勉強出来る場所があったらいいなと思って探していた。

ちょうど高校受験の頃で、ここへ来る前に進学塾も通ってみたが、遅刻やお休みをする日もあり、続けて通うのは難しいかな?と思っていた時期だった。

病院とも相談をしてスタジオplus+に決めた。

受験したい高校は決まっていた。不登校児のサポートがある高校へも見学へ行ってみたが、A君は公立高校の普通科への進学を希望していた。

不登校の子どもたちは、友だちとの関係で悩むことが多い。そのため、近所の高校へはいけないという悩みも抱える子どもたちもいる。

A君のお母さんは引越しも考えたことがあったが、A君自身が考え、自宅からも通える距離の高校を選んだ。

お母さんはA君のことを「障害を抱えていないんだ。普通なんだと思いたい気持ちがあるのだろうな」と受け止めている。

第一希望の高校は偏差値が高く、挑戦はしたが合格には至らなかった。学校から勧められた高校を受験し、倍率の高さはあったが見事合格を果たした。

しかし、やってみるとどうしても出来ないことがある。

現在、進学した高校はお休みをしているA君は、スタジオplus+に通っている。

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A君にも波があり、スタジオplus+をお休みすることもあるが、自宅に戻ってきてから教室で学んだことを夢中で話す日もある。

社会の授業で海外の歴史を学んだ日のことだった。

「いい先生でよかったね。それは大事なことだね。そんな歴史があったんだね」と聞いていたら「日本とすごく関わりがある。僕も海外へ行きたい」と、おしゃべりが止まらないこともあった。

「これがやりたい、ここへ行きたい、何かしたい」と思うと、一通り気が済むまで集中する。

激しい波があり、昨日言っていたのに今日はもう何も思ってないくらいの落差があるのは、発達に障害を抱える子どもたちの特性だ。

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「生まれて初めてなんだ、こんなにやりたいと思ったことは」

一時期、A君はかなりの熱意を持ってアスリートになりたがったことがあった。自分で練習場所や学校を調べてくるなど、意欲的に行動していた。

内容を聞くと、まだあやふやな部分があったA君に、お母さんは具体的な質問をしていく。

週に何日、どこまで通うのか?交通費と入学費用も入れて毎月いくらかかるのか?

A君はさっそく計算し、実際にかかる金額を出してみた。

「自分で払うといったので、自分で払うんだったらいいよと言ってました。お金がかかりそうだけど大丈夫?と聞いたら本人が『あぁ無理だな』って思ったみたい。一ヶ月くらいそのことで頭がいっぱいになっていた」

具体的に話を続けていく中で、A君は自分で考え納得して諦めることにした。

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A君のお母さんに家で何か気をつけていることがあればと聞いてみた。

「欠席や、遅刻など社会では通用しないことは常に言っています。それはやっちゃいけないんだよ、と。」

遅刻について「何回言ってもやると思うけど、その度に言って経験値を積むことが大切だ」と、医師からもアドバイスを受けた。

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お母さんは、A君が自分で「やりたい」と思うことは、無理そうなことでも納得するところまでやらせてきた。

結果は中途半端なことが多いかも知れないが、こうしたことは、必ずA君自身の経験として蓄積されていく。

有名校への高校受験にしても、大人にとっては、もう経験しているから「絶対無理」って言ってしまうけど、子どもは「なんで無理って分かるの?経験してないんだからやってみなければ分からない」と考える。

とにかく経験をさせてあげること、何でもやってみて、子ども自身の経験として積み上げていくことが大切なのだ。

お母さん自身も多くのことに挑戦してきた。

「私の母は、『じゃ、やってみれば』と言ってくれる母親だった。何でも体験をさせてくれた。習い事も沢山やって、海外にも行った。なので自分も子どもがやりたいことがあれば、経験したらいいなと思う」。

A君は今も、いろいろなことを体感し、経験を積み上げている真っ最中だ。

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